リンパ浮腫はなぜ片側に出るのか?
リンパ浮腫の特徴として、片側の手や足に浮腫が出ることをお伝えしました。なぜ片側にだけ出るのでしょうか?それには身体の構造が関係しています。
この身体の構造が今後セルフケアをすることにとても大切な知識となります。なるべく簡単に説明できるよう努めますので、どうぞお付き合い下さい。
リンパ液の流れ
リンパ液はリンパ管の中を通過して最終的には心臓へと戻ります。リンパ管というのは大きく2つに分かれます。
- 表在リンパ管
皮膚の下にある脂肪組織の中を通るリンパ管です。穿通枝という通り道で深部リンパ管とつながっています。リンパ液は手と足においては手部から脇・足部から鼠径部の方向へ向かって流れ、体幹部ではお臍を堺に4分割され、上半身は腋窩リンパ節へ、下半身は鼠径リンパ節に向かって流れています。(上図参照) - 深部リンパ管
筋膜より中の組織内を走行していて、動脈や静脈と伴走しています。筋肉や関節・靭帯、内臓周囲からのリンパ液の輸送を行っています。最終的に左右の静脈角(首の付根にある)で静脈に合流し、心臓へとつながります。
リンパ液の流れについて大まかに説明します。
リンパ液は表在リンパ管から主なリンパ節(上図①〜④)を経由して深部リンパ管へと流れていきます。表在リンパ管でのリンパ液の流れは下記になります。
・お臍を堺にして右の上半身と右手は①へ流れる
・左の上半身と左手は②へ流れる
・右の下半身は③へ流れる
・左の下半身は④へ流れる
話が最初に戻りますが、これがリンパ浮腫が片側に出ることと関係しています。
例えば、右の乳がんになり右のリンパ節(上図①)を切除したとします。リンパ節がなくなったことによって、①の領域(右上半身と右手)にあるリンパ液は深部リンパ管へリンパ液を送り出すことができなくなります。行き場を失ったリンパ液はリンパ管の中にリンパ液を留めることができなくなり皮下組織に漏れ出ます。すなわちこの現象がリンパ浮腫です。①の領域だけがむくむことになるのです。
最初にも書きましたがこの知識はセルフケアを行うにあたり大事なポイントとなります。皆さんの理解につながれば幸いです。
次回はセルフケアについてお話させていただきます♪