リンパ浮腫のセルフケア
ここからはセルフマッサージについてお伝えしていきます。
その前に、マッサージを行わない方が良い場合がある為、先にお伝えします。
マッサージの禁忌
- 感染症による急性炎症
炎症時にマッサージを行うことで悪化する場合があります。
蜂窩織炎など炎症がある場合は病院を受診し、抗生物質を投与してもらい安静にしましょう。 - 心性浮腫、心不全
心不全がある場合、通常の血液量でも心臓への負担が大きいです。
マッサージを行うことで更に心臓へ戻る体液が増え、心臓に負担をかけてしまいます。 - 下肢静脈の急性疾患
血栓性静脈炎、静脈血栓症などの急性疾患がある場合はマッサージを行ってはいけません。受診し、その治療に専念しましょう。 - 悪性腫瘍による浮腫(相対禁忌)
悪性腫瘍がリンパ管に浸潤し発生した場合は、悪性腫瘍に対する治療を最優先としましょう。その上で医師の指示に基づきマッサージの範囲を決めると良いでしょう。
リンパ浮腫のセルフマッサージ
リンパ浮腫のセルフマッサージでは、健康なリンパ節に向かってリンパ液を流していきます。
具体的には、リンパ浮腫を発症した部位から近いリンパ節に向かってマッサージを行います。
基本的な触り方
手のひらを密着させ、円を書くように丸く動かします。
皮膚の上をスライドしないように気をつけましょう。
また、動かす際には流したい方向を意識して流すとより効果的です。
上肢編
ここでは右上肢に浮腫が出た場合について書きます。
右上肢の浮腫は、下図①と②のリンパ節に向かってマッサージを行います。
①、②どちらか一方だけに流しても良いのですが、より効果的に排液を促すには2つのリンパ節を使用すると良いでしょう。
セルフマッサージの手順
①肩回しをする(10回)
両手で肩をつまみ、鎖骨が動く様に肩を大きく回す
②腹式呼吸をする(10回)
吸う息でお腹を膨らませ、吐く息でお腹を凹ませる
③左の脇の下を刺激する
右手の平を左脇の下へあてて丸く動かす
④前胸部を流す
左脇の下から右脇の下を3等分し、左脇に向けて丸く動かす
※手を当てる位置は図①→②→③の順番
⑤右足の付根を刺激する
右手の平を右足の付け根にあてて丸く動かす
⑥右体側を流す
右足の付け根から右脇の下を5等分し、右足の付け根に向けて丸く動かす
※手を当てる位置は図①→②→③→④→⑤の順番
(健康なリンパ節に近いところから流すため、この順番でOKです)
⑦上腕を流す
肩から肘の間を肩先に向けて丸く動かす
※手を当てる位置は図①→②→③の順番
※外側も内側も流す
⑧前腕を流す
肘から手首の間を肘に向けて丸く動かす
※手を当てる位置は図①→②→③の順番
※外側も内側も流す
⑨手部を流す
手の甲、指、手のひらを肩先に向けて丸く動かす
⑩前胸部のまとめ
指先から前胸部をなでるように流す(左脇の下に向けて)
⑪体側のまとめ
指先から右体側をなでるように流す(右付け根に向けて)
なお、左上肢に浮腫が出た際は、「右脇の下」と「左足のつけ根」に向かってマッサージを行ってください。
マッサージの手順は右上肢と同様です。
(マッサージをする部位は右上肢と反対側になるので注意!)
むくみが強い場所は繰り返しマッサージをしたり、少しもみほぐしても大丈夫です。毎日のケアは大変かとは思いますが、日々の積み重ねが経験となりご自身の身体と付き合うことが上手になっていきます。
時間がないときはスキンケアだけでもいいので、なるべく毎日触れるよう頑張りましょう♪
次回は下肢編です。